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次々と世界拠点強化のDHLエクスプレス、北欧州でも新ロジ施設2ヵ所の建設へ

国際的なEC物流需要の急拡大にともなって、世界最大級のエクスプレス配送業者DHLエクスプレスの事業も多忙をきわめている。その右肩上がりの輸送需要に対応するため最近、特に地元のヨーロッパでも巨費を投じて拠点施設の大幅強化を行っている。特に注目されるのは北欧州のヘルシンキ(フィンランド)とタリン(エストニア)での新ロジスティクスセンターの建設だ。

DHLエクスプレス・フィンランドが1億ユーロ(約157億円)を投じてヘルシンキ・ヴァンター国際空港で建設するのは、敷地面積1万6000m2の新しい物流センター。同空港で現在稼働しているDHL既存施設の2倍以上の規模になり、1時間あたり約6500個の物品を処理できる自動仕分けシステムを備えているほか、電気自動車用の充電器を備えたトラック積載ベイも90台分あるという。
なにより、同空港に到着したDHL貨物機は同センター前のエプロンに駐機でき、センターからそのまま荷役できるのがメリット。このヘルシンキ空港の新施設は2025年の後半に完成、稼働開始の予定だ。

一方、DHLエクスプレス・エストニアがバルト三国のうちのエストニア・タリン国際空港の運営会社タリンナ・レンヌジャームと15年間の協力協定を締結し、これに基づいて同空港の南部エリアに7260m2の物流複合施設の建設を開始する。滑走路にほぼ隣接して建てられる同施設は、ヘルシンキ同様、完全に自動化された効率的な仕分けシステムを備えており、2025年末までに完成する予定。

 

2025年末に完成するタリン国際空港(エストニア)のDHLエクスプレスの物流複合施設(完成予想図)

DHLエクスプレスのクリスティーナ・ラーネオツCEOは、タリン国際空港の新施設建設について、「現在のDHL貨物ターミナルは狭すぎて、増加した貨物量を処理するニーズや期待に応えられなくなっている。新しいロジスティクスセンターは、最新のテクノロジーを導入し、顧客にさらに質の高いサービスを提供する機会を与えてくれるだろう」と、期待をにじませている。

注目すべきは、このDHLタリン物流複合施設の建設が同空港の「エアポートシティ・インターナショナル・ビジネスキャンパス」プロジェクトの一環として行われる点。航空貨物と航空機メンテナンスのインフラをともに充実させ、さらにこの「エアポートシティ」が開発・運営主体者として空港都市ビジネスを幅広く進めていく計画だ。すでに同プロジェクトには300万ユーロ(約474億円)が投じられており、さらに今後の数年間で3000万ユーロ以上が投資される予定。今回のDHLエクスプレス・エストニアの新・物流複合施設の建設がその口火を切った形になる。

DHLグループの中でもDHLエクスプレスの業績は増大一方で、昨2022年の売上高も前年比14%増となる275億9200万ユーロ(約4兆3300億円)と、過去最高を記録した。この業績を支えるだけのインフラ整備についても、DHLエクスプレスは世界で拍車をかけているのである。